古材をリメイクしたベッドサイドランプ✨

Interior

こんにちは!再生建築プランナーのトモノンです!

リノベーションやリフォームを簡単にご説明すると、「既存の建物を利用して新たに造り変える建築工事」となりますが、そこには「リサイクル」「リユース」といった意味合いも含まれています。

今回は築48年になる平屋住宅をリノベーションした際に、そこに使用されていた装飾材を再利用し、オリジナルのベッドサイドランプに「リメイク」したストーリーについて、ご紹介してまいります!

 

1.Prologue

 

Property

 

建築から48年経過した住宅は、リノベーションのご依頼のあったお客様の祖父母宅となり、施設に移り住むことをきっかけに空き家になってしまうため、お孫さんであるお客様が相続し住み継ぎたいとの思いを受け、『平屋リノベ住宅』としてプロデュースさせていただきました✌
Before room
古き良き日本建築において最もポピュラーと言える「和室」は、昭和の時代における住宅の余韻を残しながら、そこで過ごしてきた人達の思い出と歴史が刻まれています。
そんな日本建築特有の和室が隣接する「続き間」の境界となる「間仕切り壁」には、「欄間」と呼ばれる襖と天井の間に設ける建具があり、通風や採光を考えて設計された開口部となります。
また、その欄間に彫刻や組子などを施し、「室内装飾」として住まいの品格をデザインしていました。
Ornament
この欄間の施された装飾は非常に珍しいデザインで、丸や楕円形をした木材のパーツが歯車のように組み合わされており、自分自身はもちろん、ベテランの建具職人も初めてお目にかかるレアアイテムで、可愛らしいそのフォルムを気に入ったお客様から、この欄間を再利用出来るのであれば活用してほしいとのこ希望がありました。

お客様からは「使い様が無ければ無理して使わなくていいのですからね♪」と言われたものの、ここはプランナーとして簡単に「はいそうですか♪」とはいきません!(笑)

 

2.Production

 

建具工場搬入
リノベーションにおける解体工事の際に、職人から欄間を壊さないよう丁寧に活かし取りしてもらい、その欄間を自ら建具屋さんの工場に持ち込み、私の必殺技である「図面なしの頭の中の設計図口伝え戦法」で説明し、製品化に向けしっかりと加工してもらいます(笑)
素材カット
先ずは必要な寸法(大きさ)にするために、不要な部分を裁断機でカットしていきます。
素材カット後
一見キレイにカットされた様に見えますが、48年経過した古材ということもあり、組み合わせパーツの接着状態が劣化し、カットする際の振動によりバラバラになってしまう危険性があり、写真の通り裏からの当て木がないとその形状を保てないほど脆くなっていました。
素材再カット
素材の脆弱性を受け、今度は裁断機より振動の少ない「パネルソー」でのカットを試みると共に、更に振動を無くすために、裏から当て木をして再チャレンジ!
素材再カット後
カット方法を変えてもその脆さは繊細で、手で持つには難しくやはり裏からの当て木が必要でした。
製作スタート
建具工場でのカット作業を終え、事務所に戻り仕上げ作業開始。
結局、機械でも人の手でもバラバラになってしまう状態に開き直り、だったら乖離したパーツを新たに組み直し、欄間のリメイクと共にその組合せデザインもリニューアルしようと発想を転換!
因みに、写真でお気づきかもしれませんが、製作しているのは欄間装飾を活かした「ランプシェード」となります👍
ライティングチェック
欄間の装飾材を張り付けながら点灯確認を行い、欄間から照明器具としてリメイクする意匠デザインを、アドリブの感性でクリエイトしていきます♪
細かいパーツを組合せながら、照明器具の四面をデザインしていきます。
因みに、作業しているのは私ではなく代表である相棒となり、丸っこい手をしていながら手先が器用で、こういった細かい作業も職人並みに仕上げていきます👏
ライティングチェック
ハンドメイドによるアドリブデザインのため、四面それぞれが違ったパターンとなっており、それが逆にオリジナルで個性的な意匠性を生み出し、既製品にはないオンリーワンな照明器具となります✨

最初はその当時のままでリメイクしようと考えて製作をスタートし、それが出来ない状況に陥った際には一度諦めかけましたが、だったら「過去に拘らず新たに組み直そう!」と、発想をリニューアルしました✌

 

3.After

 

完成品
今から48年前に設置された儚くも脆い装飾欄間は、新たにその姿を変え照明器具へとリメイクされ、リノベーションされた住まいと共に、またその時を刻んでいきます。
昭和の日本建築から現代の建築デザインに再生する中で、今回の素材を仕上げ材として内装コーディネートする考えに至らず、だからと言ってそのまま使わずに廃棄するには短絡的で再生建築のコンセプトに反すると思い、だったらインテリアアイテムとしてリメイクしよう!と発想転換し、このようなかたちに生まれ変わった次第です。
尚、今回製作した照明は「ベッドサイドライト」となり、ご夫婦それぞれにつ1ずつの計2つ製作し、心ばかりながらプレゼントさせていだだきました🎁
リメイクに関しては最後まで内緒にしており、お引渡しの際にサプライズも兼ねてお披露目となったのですが、最初の現地調査からだいぶ時間が経過していたため、要望していたこと自体を忘れていて、「あー!そう言えばぁ‼」と思い出したうえで大変喜んでいただきました♪
After room
記事冒頭の画像でもご紹介した欄間があった和室の続き間は、LDKとベッドルーム、ファミリークローゼットといった洋室の間取りにリノベーションされ、昔の面影は感じられません。
その見た目はもちろん、耐震や断熱性といった住宅性能も新築同等に再生されました👍

リノベーションによりその姿かたちが刷新される中で、過去の家の思い出を残しながらデザイン出来る点においては、新築住宅にはない魅力の一つといえます!

 

まとめ

古い住宅においては、現在では手に入らない建材が使用されていたり、再現の難しい装飾が施されていることがあり、アイデアをもってリメイクすることでリサイクル・リユースが可能となり、住宅をはじめ、そうして再生された商品やサービスには新たな価値が生まれ、オリジナリティ溢れる魅力的プロダクトとなります。
古くなったからといってスクラップすることは簡単ですが、その時代を以ってして生まれた造形やデザインはとても貴重であると共に、現代で再現するには技術的な要素も含めコスト面でも困難であり、そんな日本建築のレガシーをどう捉えてどのように取り扱うかは、再生建築に携わっている人達の手に委ねられている中で、今回の記事のようなかたちで照明器具にリスタイルし、お客様に喜ばれる選択をすることが大切だと個人的に思っています✌

 

タイトルとURLをコピーしました